| 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、アブストラクトだけ読んだ、社交不安(障害)に関する興味深い論文を取り上げます。

なぜ、社交不安(障害)なのかというと、場面緘黙児(選択性緘黙児)は社交不安(社会不安)が高いか、もしくは社交不安障害(社会不安障害,社交不安症)を併存していることが多いという知見があるからです。また、米国精神医学会(APA)が発行するDSM-5(精神疾患の分類と診断の手引き第5版)では場面緘黙症が不安障害(不安症)になりました。

今回は、新型コロナ対策のソーシャルディスタンシングで社交不安が低下する機会が失われた可能性があるという研究です。

なお、社交不安(障害)以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

新ブログ『心理学・脳科学・動物行動学アブストラクト』も設立したので、時間があればのぞいてやってください(参考記事⇒新ブログ『心理学・脳科学・動物行動学アブストラクト』開設のお知らせ)。

最近の記事1⇒亜臨床うつ病の人と一緒に働く職場は労働パフォーマンスが高い
最近の記事2⇒クラスレベルのいじめ被害が低い方が被害児の抑うつ症状が悪化しやすいというパラドックス
最近の記事3⇒頭を使って精神的疲労が高まると、サッカー、バスケットボール、卓球が下手になる
最近の記事4⇒自己制御の失敗には利点もある
↑記事2は「いじめの減少後に『残された子供』の社交不安等が悪化」という研究を思い起こさせます。

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興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、論文アブストラクト(抄録)だけ読んだ扁桃体に関する興味深い研究を取り上げます。

なぜ、扁桃体なのかといえば、不安・恐怖に関連する脳領域として話題になることが多い脳部位だからです。ただし、「扁桃体には不安・恐怖を抑制する機能もある」という指摘や「扁桃体損傷患者でも不安、恐怖等の感情を感じる」との研究もあることに留意しなければなりません。

今回は、光で扁桃体の活動が抑制されるという内容の論文です。

なお、扁桃体以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。

新ブログ『心理学・脳科学・動物行動学アブストラクト』も設立したので、時間があればのぞいてやってください(参考記事⇒新ブログ『心理学・脳科学・動物行動学アブストラクト』開設のお知らせ)。

最近の記事1⇒乳児期は泣き声や笑い声よりも発話に似た声を出すことが多い
最近の記事2⇒論文出版が多すぎると、科学は進展するどころか停滞する
最近の記事3⇒突然の音信不通で人間関係を終わらせたことのある人はマキャヴェリズムやサイコパシーが高い
最近の記事4⇒幸運の女神のように運を擬人化すると、経済的決定がリスキーになる

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少なくともインターネット上では、場面緘黙症経験者が後遺症に悩まされているという話を時々みかけます。たとえば、緘黙症のせいでうつ病になった、コミュニケーション能力が低いといった具合にです。

しかし果たして本当にそうなのでしょうか?場面緘黙症が原因で後遺症になったということを実証するためには、緘黙症ではないが、その他の特性は全く同じ自分の人生を再現するパラレルワールドの世界を作らなければ、厳密には不可能です。

そして、何よりも不安症の寛解後も持続する機能上の制約の多くは、精神障害を発症する前からある既存の特性を反映している可能性を指摘した研究(Schopman et al., 2017)うつ病において、寛解後の機能障害は、うつになってから生じる傷跡よりもうつを発症する前からすでに存在している脆弱性を反映している可能性を示唆した研究(Bos et al., 2018)も発表されています。

内在化疾患(不安症・うつ病)リスクが高い年長青年において、内在化症状の経験が性格特性に与える傷跡効果はあったとしても弱く、それよりも神経症傾向という性格特性による内在化症状リスクへの脆弱性の方が効果が大きいという研究(Williams et al., 2021)もあります。

これらの研究が本当ならば、不安症の影響による後遺症は大したことはなく、それよりも不安症になる前からある特性の方が重要だということになります。

〇場面緘黙症の後遺症は、緘黙発症前から既に存在している状態を反映している可能性

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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