扁桃体活動の持続性が低い人はパリピ?
2022-03-03 (Thu) 07:020
扁桃体の興味深い研究
興味深い研究成果をすべてネタにできればいいのですが、生憎そうもいきません。そこで、論文アブストラクト(抄録)だけ読んだ扁桃体に関する興味深い研究を取り上げます。
なぜ、扁桃体なのかといえば、不安・恐怖に関連する脳領域として話題になることが多い脳部位だからです。ただし、「扁桃体には不安・恐怖を抑制する機能もある」という指摘や「扁桃体損傷患者でも不安、恐怖等の感情を感じる」との研究もあることに留意しなければなりません。
今回は、扁桃体活動の持続性が低い人はパリピ(パーティーピープル/パーティピーポー)という内容の論文です。
なお、扁桃体以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。
新ブログ『心理学・脳科学・動物行動学アブストラクト』も設立したので、時間があればのぞいてやってください(参考記事⇒新ブログ『心理学・脳科学・動物行動学アブストラクト』開設のお知らせ)。
最近の記事1⇒中二病経験者はイマジナリーフレンドやボーイ/ガールフレンドがいたことのある人が多い
最近の記事2⇒脳卒中を発症してから2~3か月の間がリハビリで上肢の運動機能の回復が最も見込める期間となる
最近の記事3⇒建物の改修で研究拠点が近くなると、論文の共著が増える
最近の記事4⇒COVID-19パンデミック下でのリモートワークに際する雑音イライラ
なぜ、扁桃体なのかといえば、不安・恐怖に関連する脳領域として話題になることが多い脳部位だからです。ただし、「扁桃体には不安・恐怖を抑制する機能もある」という指摘や「扁桃体損傷患者でも不安、恐怖等の感情を感じる」との研究もあることに留意しなければなりません。
今回は、扁桃体活動の持続性が低い人はパリピ(パーティーピープル/パーティピーポー)という内容の論文です。
なお、扁桃体以外の興味深い(面白い)研究については『心と脳の探求-心理学、神経科学の面白い研究』をご覧ください。
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Puccetti, N. A., Schaefer, S. M., Van Reekum, C. M., Ong, A. D., Almeida, D. M., Ryff, C. D., Davidson, R. J., & Heller, A. S. (2021). Linking amygdala persistence to real-world emotional experience and psychological well-being. Journal of Neuroscience, 41(16), 3721-3730. DOI: 10.1523/JNEUROSCI.1637-20.2021
アメリカのマイアミ大学心理学科、ウィスコンシン大学マディソン校ヘルシーマインズセンター(Center for Healthy Minds)&同大学心理学科、コーネル大学人間発達(人間開発?)学科、ペンシルベニア州立大学人間発達家族研究学科ヘルシーエイジングセンター、イギリスのレディング大学心理学臨床言語科学部の研究者による論文です。
〇序論
感情刺激に対する応答の神経活動の動態は、その時々の情動経験と関連します。
特に扁桃体は、主観的な情動経験に関与しており、中性刺激に対して価値を割り当てます。
嫌悪事象後の扁桃体活動の持続性は人によって違うため、嫌悪事象の後に遭遇した中性刺激に対するネガティブ評価に差異が生じてきます。
扁桃体活動の持続性からくる、後続する中性刺激に対する否定的評価が強いと、一時的なはずの情動経験が長引いたり、経験頻度が多くなったりして、精神的幸福感(psychological well-being)のような自己評価尺度にも結果が反映してくる可能性があります。
〇目的
日常的に感じる感情と精神的幸福感との関連に関する研究はあります。ですが、この日常的な感情経験と精神的幸福感との関係に扁桃体活動の持続性を直接絡ませて論じた研究は少ないのが現状です。そこで、扁桃体活動の持続性も一緒に調査することを目的とした研究を実施。
〇方法
参加者は、アメリカ中年研究(Midlife in the United States study)の協力者52人の成人(女性67%)。彼ら協力者は、精神的幸福感や日常感情に関する尺度に回答し、fMRI撮像を受けました。
fMRI実験では、参加者はまず感情的画像を見て、その次に中性的な表情を見ました。この実験デザインによって、感情刺激に関する扁桃体表象とその後に提示された中性的表情に関する扁桃体表象との間の類似性の個人差を定量化することができました。
表象類似度解析により、嫌悪刺激後の神経活動の持続性は、ネガティブ画像をエンコードしている最中の扁桃体活動のパターンとその後に提示された中性的表情をエンコードしている最中の扁桃体活動パターンとの間の類似性として操作的に定義しました。
〇結果
データ解析の結果、嫌悪刺激に対する左扁桃体の活動パターンの持続性が低い人は、日常生活でポジティブ感情を感じやすく、ネガティブ感情を感じにくくなっていました。
また、左扁桃体活動の持続性と精神的幸福感との間を、日常生活で感じるポジティブ感情が間接的に関連付けていました。
〇コメント
fMRIはラボでの実験課題上でのことです。なので、本研究成果は、実験室環境での脳活動パターンと日常生活で感じる感情および精神的幸福感とが関連するという、ラボと日常とを橋渡しする結果になっています。
しばしば、実験室環境は生態学的妥当性が低いとして批判されることがありますので、この種の研究は重要です。
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