予後の予測(fMRI) | 緘黙ブログー不安の心理学、脳科学的知見からー
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問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。

うつ病や双極性障害(躁鬱病)、自閉症スペクトラム障害、アスペルガー症候群、アルコール依存症(アルコール中毒)、コカイン依存症、社交不安障害(社会不安障害)に関しては、脳イメージング技術により90%以上の精度で患者と健康な人の識別、あるいは別の疾患/症状との鑑別まで可能であるという研究成果が海外であります。

*最近ではAD/HD(注意欠陥・多動性障害)でも脳イメージング技術による診断技術の向上が進んでいます。

参考記事⇒精神疾患を脳イメージングで診断できる時代へ(海外の研究)

上の参考記事ではMRI(磁気共鳴画像法)やfMRI(機能的MRI)による社会不安障害患者と健常者の鑑別診断が97%の精度でできるという中国の研究を紹介していますが、これは学会発表です。学会発表ではなく、きちんとした論文となると、表情課題での脳活動で72.6%の鑑別精度、全脳の灰白質体積を用いた鑑別で84.5%(Frick et al., 2014)fMRIによる健常者と社会不安障害患者の鑑別が感度88%・特異度89%で、パニック障害患者と社会不安障害患者の鑑別も感度81%・特異度81%で可能である(Pantazatos et al., 2014)という研究があります(2014年5月現在、追試がなされていないことに注意)。

日本でも拡散テンソル画像法(DTI:Diffusion Tensor Imaging)によって統合失調症の女性患者とうつ病の女性患者を8割の正確性で鑑別診断した、近赤外線分光法(NIRS:Near-Infrared Spectroscopy)によってうつ病患者と双極性障害もしくは統合失調症の患者を識別できた等の報告があります。

参考記事⇒精神疾患を脳イメージングで診断できる時代へ(日本の研究)

以下の参考記事で書いたように、うつ病など気分障害ではMRIやEEG(脳波)で抗うつ薬の効果を、fMRIで認知行動療法の効果を、EEGで反復経頭蓋磁気刺激法(rTMS)の効果をそれぞれ個人レベルで予測できるという研究があります。統合失調症に対するクロザピン(抗精神病薬)の効果を治療前のEEGで予測できる、物質乱用障害患者が認知行動療法を断念するかどうかを脳活動で予測できると主張する研究者もいます。

参考記事⇒認知行動療法や薬物療法の効果を脳イメージングで予測できる時代へ

しかし、不安障害で認知行動療法の効果を個人レベルで予測した研究はありませんでした(集団レベルならあります)。今回ご紹介する論文が興味深いのはfMRIで全般性不安障害患者とパニック障害患者に対する認知行動療法の効果を個人レベルで予測できた初めての研究であるという点にあります。

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場面緘(かん)黙症とは?
ある特定の場面(例.学校)でしゃべれなくなってしまう症状を場面緘黙症といいます。言語能力や知能には問題がないにもかかわらず、話せないのです。一般的に場面緘黙症の人は自らの意思で口を閉ざしているのではなく、不安や恐怖のために話せないとされます。中にはあらゆる場面で話せない全緘黙症になる事例もあります。
プロフィール

マーキュリー2世

Author:マーキュリー2世
性別:男
緘黙経験者で、バリバリの現役緘黙だったのは小学4年?大学1年。ただし、小学4年以前はほとんど記憶喪失気味なのでそれ以前も緘黙だった可能性あり。現在も場合によっては緘黙/緘動が発動します。種々の研究に言及していますが、私は専門家ではありません。ひきこもり/自称SNEP(孤立無業者)です。

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