「問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。
2016.07.10
近年、脳イメージング技術による精神疾患や発達障害の診断(正確にいうと精神医学的診断と脳科学的診断の一致)が可能であるという研究がでてきています。たとえば、うつ病や双極性障害(躁うつ病)、自閉症スペクトラム障害、アスペルガー症候群、アルコール依存症(アルコール中毒)、コカイン依存症に関しては、脳イメージング技術により90%以上の精度で患者と健康な人の識別、あるいは別の疾患/症状との鑑別まで可能という研究成果があります。
また、脳イメージングは薬物療法や認知行動療法の効果の予測を個人ごとに行えます(詳細は「認知行動療法や薬物療法の効果を脳イメージングで予測できる時代へ」をご覧ください)。
今回取り上げる論文もこのような研究動向を受けたものになっています。具体的には、社交不安障害(社交不安症,社会不安障害)の人への認知行動療法の後の社交不安症状の改善を脳イメージング技術を活用して、個人レベルで予測したという内容の論文を取り上げます。なお、本記事タイトルのコネクトミクスとは神経接続マップ(コネクトーム)の研究分野のことを言います。
Whitfield-Gabrieli, S., Ghosh, S. S., Nieto-Castanon, A., Saygin, Z., Doehrmann, O., , Chai, X. J., Reynolds, G. O., Hofmann, S. G., Pollack, M. H., & Gabrieli, J. D. E. (2016). Brain connectomics predict response to treatment in social anxiety disorder. Molecular Psychiatry, 21(5), 680-685. doi: 10.1038/mp.2015.109.
★概要
○方法
また、脳イメージングは薬物療法や認知行動療法の効果の予測を個人ごとに行えます(詳細は「認知行動療法や薬物療法の効果を脳イメージングで予測できる時代へ」をご覧ください)。
今回取り上げる論文もこのような研究動向を受けたものになっています。具体的には、社交不安障害(社交不安症,社会不安障害)の人への認知行動療法の後の社交不安症状の改善を脳イメージング技術を活用して、個人レベルで予測したという内容の論文を取り上げます。なお、本記事タイトルのコネクトミクスとは神経接続マップ(コネクトーム)の研究分野のことを言います。
Whitfield-Gabrieli, S., Ghosh, S. S., Nieto-Castanon, A., Saygin, Z., Doehrmann, O., , Chai, X. J., Reynolds, G. O., Hofmann, S. G., Pollack, M. H., & Gabrieli, J. D. E. (2016). Brain connectomics predict response to treatment in social anxiety disorder. Molecular Psychiatry, 21(5), 680-685. doi: 10.1038/mp.2015.109.
★概要
○方法
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近年、脳イメージング技術による精神疾患や発達障害の診断(正確にいうと精神医学的診断と脳科学的診断の一致)が可能であるという研究がでてきています。たとえば、うつ病や双極性障害(躁うつ病)、自閉症スペクトラム障害、アスペルガー症候群、アルコール依存症(アルコール中毒)、コカイン依存症に関しては、脳イメージング技術により90%以上の精度で患者と健康な人の識別、あるいは別の疾患/症状との鑑別まで可能という研究成果があります。
また、脳イメージングは薬物療法や認知行動療法の効果の予測を個人ごとに行えます(詳細は「認知行動療法や薬物療法の効果を脳イメージングで予測できる時代へ」や「認知行動療法の効果はfMRIで予測可能(パニック障害・全般性不安障害)」、「背側前帯状皮質-扁桃体がiCBTの予後1年を予測(社交不安障害)」をご覧ください)。
うつ病などの他の精神疾患と比較して、社交不安症での脳イメージング技術の臨床活用への可能性を探る研究は遅れていますが、最近では個別診断や個人ごとの予後の予測が可能であるといった論文が発表され始めています。たとえば、MRI(核磁気共鳴画像法)で社交不安症者か健常者かが84.5%の精度で識別可能という報告(Frick et al., 2014)があります。fMRI(機能的MRI)でも表情パラダイム中の恐怖ネットワークの活動で識別精度が72.6%であったという報告(Frick et al., 2014)や表情を用いた課題中の脳結合で社交不安症者と健常者の区別が71~88.5%の精度でできるだけでなく、パニック症(パニック障害)者と社交不安症者の鑑別も81%の正確性で可能という結果(Pantazatos et al., 2014)が報告されており、社交不安症者と健康人、あるいは他の不安症(不安障害)との識別まで研究が進展してきています。
また、脳イメージングは薬物療法や認知行動療法の効果の予測を個人ごとに行えます(詳細は「認知行動療法や薬物療法の効果を脳イメージングで予測できる時代へ」や「認知行動療法の効果はfMRIで予測可能(パニック障害・全般性不安障害)」、「背側前帯状皮質-扁桃体がiCBTの予後1年を予測(社交不安障害)」をご覧ください)。
うつ病などの他の精神疾患と比較して、社交不安症での脳イメージング技術の臨床活用への可能性を探る研究は遅れていますが、最近では個別診断や個人ごとの予後の予測が可能であるといった論文が発表され始めています。たとえば、MRI(核磁気共鳴画像法)で社交不安症者か健常者かが84.5%の精度で識別可能という報告(Frick et al., 2014)があります。fMRI(機能的MRI)でも表情パラダイム中の恐怖ネットワークの活動で識別精度が72.6%であったという報告(Frick et al., 2014)や表情を用いた課題中の脳結合で社交不安症者と健常者の区別が71~88.5%の精度でできるだけでなく、パニック症(パニック障害)者と社交不安症者の鑑別も81%の正確性で可能という結果(Pantazatos et al., 2014)が報告されており、社交不安症者と健康人、あるいは他の不安症(不安障害)との識別まで研究が進展してきています。
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近年、脳イメージング技術による精神疾患や発達障害の診断(正確にいうと精神医学的診断と脳科学的診断の一致)が可能であるという研究がでてきています。たとえば、うつ病や双極性障害(躁うつ病)、自閉症スペクトラム障害、アスペルガー症候群、アルコール依存症(アルコール中毒)、コカイン依存症に関しては、脳イメージング技術により90%以上の精度で患者と健康な人の識別、あるいは別の疾患/症状との鑑別まで可能という研究成果があります。
また、脳イメージングは薬物療法や認知行動療法の効果の予測を個人ごとに行えます(詳細は「認知行動療法や薬物療法の効果を脳イメージングで予測できる時代へ」をご覧ください)。
今回の論文は以上の研究動向を受けたものです。具体的には、社交不安障害(社会不安障害,社交不安症)へのインターネット認知行動療法+注意バイアス修正訓練の予後に関して個人レベルの予測がfMRI(機能的磁気共鳴画像法)により可能であるという内容です。私の知る限り、本論文がfMRIで社交不安障害への心理療法の長期的予後の効果を個人レベルで予測した初の研究になります。また、本論文によれば、精神医学でfMRIにより長期的な予後を個人レベルで予測した研究はほとんどないそうで、本研究はその意味でも貴重です。
また、脳イメージングは薬物療法や認知行動療法の効果の予測を個人ごとに行えます(詳細は「認知行動療法や薬物療法の効果を脳イメージングで予測できる時代へ」をご覧ください)。
今回の論文は以上の研究動向を受けたものです。具体的には、社交不安障害(社会不安障害,社交不安症)へのインターネット認知行動療法+注意バイアス修正訓練の予後に関して個人レベルの予測がfMRI(機能的磁気共鳴画像法)により可能であるという内容です。私の知る限り、本論文がfMRIで社交不安障害への心理療法の長期的予後の効果を個人レベルで予測した初の研究になります。また、本論文によれば、精神医学でfMRIにより長期的な予後を個人レベルで予測した研究はほとんどないそうで、本研究はその意味でも貴重です。
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