「問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。
2019.06.16
2018年11月15日~18日、ワシントンD.C.で開催されたアメリカ行動療法認知療法学会第52回年次大会(Association for Behavioral and Cognitive Therapies 52nd Annual Convention)にて、場面緘黙児への集中的集団行動療法の効果を行動観察で検証した研究が発表されました。
Hong, N., Cornacchio, D., Furr, J. M., & Comer, J. S. (2018). Utilizing Observational Measures to Evaluate the Efficacy of Intensive Group Behavior Therapy for Children with Selective Mutism. Poster presented at 2018 Annual Convention of the Association for Behavioral and Cognitive Therapies, Washington Marriott Wardman Park Hotel, Washington, DC. <https://www.eventscribe.com/2018/ABCT/fsPopup.asp?efp=R1FDRUhCTUg2MzM3&PosterID=163964&rnd=0.5062361&mode=posterinfo>
研究者は全員フロリダ国際大学に所属を持っています。特に、Natalie Hong氏とJonathan Comer氏はフロリダ国際大学の精神衛生介入・技術(Mental Health Interventions and Technology,MINT)プログラムに参画しています。Jami Furr氏は言語環境解析(Language ENvironment Analysis,LENA)を用いた場面緘黙症研究の先駆者です。
〇背景
Hong, N., Cornacchio, D., Furr, J. M., & Comer, J. S. (2018). Utilizing Observational Measures to Evaluate the Efficacy of Intensive Group Behavior Therapy for Children with Selective Mutism. Poster presented at 2018 Annual Convention of the Association for Behavioral and Cognitive Therapies, Washington Marriott Wardman Park Hotel, Washington, DC. <https://www.eventscribe.com/2018/ABCT/fsPopup.asp?efp=R1FDRUhCTUg2MzM3&PosterID=163964&rnd=0.5062361&mode=posterinfo>
研究者は全員フロリダ国際大学に所属を持っています。特に、Natalie Hong氏とJonathan Comer氏はフロリダ国際大学の精神衛生介入・技術(Mental Health Interventions and Technology,MINT)プログラムに参画しています。Jami Furr氏は言語環境解析(Language ENvironment Analysis,LENA)を用いた場面緘黙症研究の先駆者です。
〇背景
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2018.04.01
2018年3月1日から3日にかけてアメリカ合衆国ペンシルベニア州フィラデルフィアにて開催された東心理学会年次総会にて、場面緘黙症(選択性緘黙)に関する研究発表がありました。いずれも研究方法の詳細は不明ですが、せっかくですのでそのポスター発表の内容をご紹介します。
〇場面緘黙とトラウマの関係に関する調査(Bowden et al., 2018)
場面緘黙児のトラウマ経験率、もし経験していれば、その種類に関する調査です。場面緘黙はトラウマとは関連しないとの研究がある一方で、場面緘黙児にトラウマ歴があるとの研究も存在します。今回の研究では、場面緘黙児のほとんどはトラウマを経験していなかったそうです。トラウマがあった緘黙児では、家族トラウマ、環境トラウマ、医療トラウマ、学校トラウマの4タイプが見いだされました。
場面緘黙はトラウマが主因とはいえませんが、かといって研究が少ない現状では全く関係がないと断言する根拠もありません。今回は場面緘黙とトラウマにはほとんど関連がなかったみたいですが、そもそも緘黙児でトラウマ経験者を探すというのもおかしな話です。トラウマが場面緘黙のリスク要因になるかどうかは、トラウマ経験者の追跡調査でもって明白にされる事項です。なぜならば、そもそもトラウマ経験者の数が少なければ、たとえトラウマが場面緘黙のリスクになるにしても、緘黙児の中にトラウマ経験がある子は限られると考えられるからです。これは、場面緘黙の発症、維持には複数の要因があると言われることを考慮すればなおさらです。
〇場面緘黙とトラウマの関係に関する調査(Bowden et al., 2018)
場面緘黙児のトラウマ経験率、もし経験していれば、その種類に関する調査です。場面緘黙はトラウマとは関連しないとの研究がある一方で、場面緘黙児にトラウマ歴があるとの研究も存在します。今回の研究では、場面緘黙児のほとんどはトラウマを経験していなかったそうです。トラウマがあった緘黙児では、家族トラウマ、環境トラウマ、医療トラウマ、学校トラウマの4タイプが見いだされました。
場面緘黙はトラウマが主因とはいえませんが、かといって研究が少ない現状では全く関係がないと断言する根拠もありません。今回は場面緘黙とトラウマにはほとんど関連がなかったみたいですが、そもそも緘黙児でトラウマ経験者を探すというのもおかしな話です。トラウマが場面緘黙のリスク要因になるかどうかは、トラウマ経験者の追跡調査でもって明白にされる事項です。なぜならば、そもそもトラウマ経験者の数が少なければ、たとえトラウマが場面緘黙のリスクになるにしても、緘黙児の中にトラウマ経験がある子は限られると考えられるからです。これは、場面緘黙の発症、維持には複数の要因があると言われることを考慮すればなおさらです。
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2018.03.05
2018年4月5日~8日、アメリカのワシントンD.C.にて開催される予定の、米国不安・抑うつ協会(Anxiety and Depression Association of America,ADAA)の学術会議、ADAA 2018にて場面緘黙症(選択性緘黙)に関する発表があります。その内容をご紹介しましょう。
なお、ADAAの2016年大会については、以前「場面緘黙児の感覚過敏、併発症等の大規模調査」という記事でふれました。2017年大会については、 手元の記録によると、早産と場面緘黙(Preterm birth and selective mutism)という発表があったのですが、記事にするのを先延ばしているうちに、サイトページがなくなりました。
〇場面緘黙児の感覚処理の性差(Bowden et al., 2018)
●序論と目的:場面緘黙児に性差は検出されなかったという研究がある一方で、男児より女児の方が2倍多いとの研究も存在します。また、場面緘黙の人の感覚処理には特有の特徴があるとの研究もあります。そこで、場面緘黙児の感覚プロフィールの性差を感覚プロフィール-2(Sensory Profile-2,SP-2)を用いて検討することを目的としました。
●方法:場面緘黙を専門的に扱うセンターで診療を受ける場面緘黙児の親がSP-2に回答し、子供の感覚処理を調査。現在のところ、サンプル数nは96(平均年齢7.52歳,女児68%,白人74%)でしたが、まだデータ収集は継続中。
●結果:場面緘黙の男児よりも場面緘黙の女児の方が、注意反応、感覚希求、感覚感受性、視覚処理、触覚処理、口感覚(オーラル)処理の各尺度得点が高くなりました。ただし、口感覚は有意傾向。
なお、場面緘黙の女児における感覚処理の高さが不安を高め、社会コミュニケーションに影響するとの考察がされていますが、推測にしかすぎませんので要注意です。
なお、ADAAの2016年大会については、以前「場面緘黙児の感覚過敏、併発症等の大規模調査」という記事でふれました。2017年大会については、 手元の記録によると、早産と場面緘黙(Preterm birth and selective mutism)という発表があったのですが、記事にするのを先延ばしているうちに、サイトページがなくなりました。
〇場面緘黙児の感覚処理の性差(Bowden et al., 2018)
●序論と目的:場面緘黙児に性差は検出されなかったという研究がある一方で、男児より女児の方が2倍多いとの研究も存在します。また、場面緘黙の人の感覚処理には特有の特徴があるとの研究もあります。そこで、場面緘黙児の感覚プロフィールの性差を感覚プロフィール-2(Sensory Profile-2,SP-2)を用いて検討することを目的としました。
●方法:場面緘黙を専門的に扱うセンターで診療を受ける場面緘黙児の親がSP-2に回答し、子供の感覚処理を調査。現在のところ、サンプル数nは96(平均年齢7.52歳,女児68%,白人74%)でしたが、まだデータ収集は継続中。
●結果:場面緘黙の男児よりも場面緘黙の女児の方が、注意反応、感覚希求、感覚感受性、視覚処理、触覚処理、口感覚(オーラル)処理の各尺度得点が高くなりました。ただし、口感覚は有意傾向。
なお、場面緘黙の女児における感覚処理の高さが不安を高め、社会コミュニケーションに影響するとの考察がされていますが、推測にしかすぎませんので要注意です。
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