「問題を起こさない緘黙児は放置されるか?」という記事に追記をしました。3歳で「かん黙」があった園児5名の内60%が5歳までに「かん黙」を克服したという研究です。日本の調査になります。
2011.05.23
今回は社会不安障害に対する認知行動療法と薬物療法の有効性を生理心理学的観点から検証した研究をとりあげます。精神療法と薬物療法は共に扁桃体を含む辺縁系の活動を抑えることでその効果を発揮するという結果が得られています。なにより重要なのは治療1年後の予後を大脳皮質の奥深くにある領域(扁桃体など)の興奮度によってほぼ確実に予測できたことです。
Furmark, T., Tillfors, M., Marteinsdottir, I., Fischer, H., Pissiota, A., Långström, B., & Fredrikson, M.(2002). Common changes in cerebral blood flow in patients with social phobia treated with citalopram or cognitive-behavioral therapy. Archives of General Psychiatry, 59, 425-433.
★概要
シタロプラムというSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を処方した群と集団認知行動療法を実施した群、治療待ち群に患者を分けています。治療期間・待機期間は9週間です。これらの3群について、治療の前後に人前でスピーチをしてもらっています。スピーチ中に脳の血流をPET(陽電子断層撮影)で測定しています。
その結果、SSRIと認知行動療法はともに症状の軽減に成功しました。SSRIと認知行動療法の脳への作用はほとんど同じでした。つまり、治療による寛解にスピーチ中の脳血流量の減退が伴っていました。このような変化があった部位は両半球(特に右半球)の扁桃体、海馬でした。ただ、右視床ではSSRIを処方された方が有意に血流が増加しました。
辺縁系(扁桃体・海馬)の他にも、認知行動療法群では中脳水道灰白質の血流が減少し、右小脳や第2次視覚野の血流が増加していました。一方、SSRI群では左視床と左前頭葉下部の血流が減少していました。全体的に症状が緩和した人は右前頭葉下部、右背外側前頭前野、両半球の前帯状回の血流が減少していました。
そして、治療による扁桃体、中脳水道灰白質、左視床の活動低下が大きければ大きいほど、1年後の予後が良好なことが判明しました。
★コメント
Furmark, T., Tillfors, M., Marteinsdottir, I., Fischer, H., Pissiota, A., Långström, B., & Fredrikson, M.(2002). Common changes in cerebral blood flow in patients with social phobia treated with citalopram or cognitive-behavioral therapy. Archives of General Psychiatry, 59, 425-433.
★概要
シタロプラムというSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を処方した群と集団認知行動療法を実施した群、治療待ち群に患者を分けています。治療期間・待機期間は9週間です。これらの3群について、治療の前後に人前でスピーチをしてもらっています。スピーチ中に脳の血流をPET(陽電子断層撮影)で測定しています。
その結果、SSRIと認知行動療法はともに症状の軽減に成功しました。SSRIと認知行動療法の脳への作用はほとんど同じでした。つまり、治療による寛解にスピーチ中の脳血流量の減退が伴っていました。このような変化があった部位は両半球(特に右半球)の扁桃体、海馬でした。ただ、右視床ではSSRIを処方された方が有意に血流が増加しました。
辺縁系(扁桃体・海馬)の他にも、認知行動療法群では中脳水道灰白質の血流が減少し、右小脳や第2次視覚野の血流が増加していました。一方、SSRI群では左視床と左前頭葉下部の血流が減少していました。全体的に症状が緩和した人は右前頭葉下部、右背外側前頭前野、両半球の前帯状回の血流が減少していました。
そして、治療による扁桃体、中脳水道灰白質、左視床の活動低下が大きければ大きいほど、1年後の予後が良好なことが判明しました。
★コメント
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